再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
みんなも急に滑らかに淑やかに話し出した天音を見て開いた口が塞がらないようだ。

天音は作法や所作が身に染み付いていて、自然と惹きつけるものをもっている。

奔放さもありながら、こういう場では自然とそうなるらしい。
見てるこっちは面白いが本人はいたって真面目だ。

「天音さん。ようこそ。みんな天音さんに会いたくて集まったんだよ」

親父が話し出す。

「ありがとうございます。嬉しいです…」

「天音ちゃん! 私も挨拶遅くなっちゃった。丈慈と翠の母の麗よ。ここにいる全員敬語はなし! もう天音は家族なんだから。ママって呼んでね」

お袋はそう言って天音の手を取り微笑んだ。
天音に両親がいない事を知ってるからだろう。
そして、ここにいる全員が笑顔でうんうんと頷く。

天音の大きな瞳に涙が浮かび、ポロっと一筋頬を伝った。

「マ…ママ…」

天音はそれは嬉しそうに微笑みお袋をそう呼んだ。
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