再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する


この女馬鹿なのか?
こんな所まで押しかけてきて。
どう考えてもおかしいだろ。

まず、俺は必ず避妊していた。
それからこの女とはもう一年以上関係をもっていない。

「この子の誕生日は?」

「十二月三日」

こないだじゃねぇかよ。
通りで。
どう見ても産まれたばかりだと思った。

顔もまるで違う。
いちおう聞いておくか。

「血液型は?」

「…O型」

間違いなく俺じゃない。
こいつには言ってないが、俺はAB型だ。
俺からはO型は生まれない。

「なるほど。あり得ないな。俺はAB型だ」

女はまずいという顔を浮かべる。

「正直に言ってくれないか? 俺の子なわけないよな普通に考えて。避妊もしていたし、お前とは一年以上関係を持っていない。子供も小さ過ぎる。おかしいだろ」

そう言えば、女はポロポロと泣き出した。
もう俺が泣きたいくらいだ。

勘弁してほしい。

天音の涙とこうも違うのかと改めて実感する。申し訳ないが鳥肌が立つ。

微塵も同情できない。

やっぱり俺は天音以外には冷たいらしい。
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