再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「ちょっと待っててくれ」

「え? うん」

あり得ないのは重々承知で俺は天音に電話する。
これ以上この女と二人で話すのは無理だ。
吐きそうなくらい嫌悪感でいっぱいだ。

『もしもし』

「天音? あの…その…」

いざ口にしようとすると詰まる。

『じょ、丈慈の子…だった…の?』

「違う! ないない! 100%ない! 誕生日も血液型も全くもって擦りもしなかった」

『え? ど、どういうこと?』

「だから俺の子じゃないだろって言ったら泣き出してよ」

『…うん』

「…俺、無理っぽいのよ」

『何が?』

「天音以外の女の涙とか、虫唾走るんだわ」

『は?』

「だからさ、ちょっとだけ来て一緒に話し聞いてくれないか? いちおう赤ん坊連れてきてるしめっちゃ生まれたてだしよ。女はどうでもいいんだけど、今冬だし赤ん坊可哀想で」
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