再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する

〜天音side〜

「ん…」

喉の渇きで目が覚める。
モゾっと動けば、私を後ろから羽交締めするみたいに抱きついて眠る丈慈。

丈慈の体温は高い。
あったかい。

それにしても昨日は驚いた。
一瞬何が起こっているのかわからないくらいに。

丈慈にまさかの子供がいたのかと本当に思った。

あの女の人綺麗だった。

私とはまるでタイプが違って、ブラウンのロングヘアはセンターで分けられ前髪ごと緩めに巻かれていて、大人の女性って感じがした。

薄めのピンクベージュの緩めのニットにホワイトの膝下くらいのタイトスカートを履いて、ベージュのコートを羽織っていた。

まさにエレガントな女性らしい姿を見て尻込みしてしまいそうになった。

でも、丈慈は最初から違うと言い切った。

とりあえず話をしてくるという丈慈を見送ったあとは、ずっと祈るような気持ちだった。

万が一丈慈の子供だったら…

と思えば思うほど震え出す手。

彼女と会って気持ちが揺らいでしまったりしないかとどんどん不安が押し寄せる。

違うと言い切った丈慈の言葉を何度も繰り返し思い出して何とかやり過ごした。