再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「かわいいな」

ソファであんなにしがみついてきた男とは思えない。
すっかり元通りだ。

あれはだいぶレアな姿だったんだろうな。
ふふふ。
覚えておこう。

私はやっとペットボトルを受け取りグビグビと飲んだ。

「はー。生き返ったー」

丈慈はそんな私を見てクスクスと笑っている。

丈慈に寄りかかる。
大きいな。
包容力が半端ない。
落ち着く。

幸せだ。

「一緒に暮らしたら毎日こうしてられるね」

「そうだな」

「こんなに幸せで大丈夫なのかな?」

「大丈夫。天音は今までたくさん頑張ってきたんだ」

私を抱きしめる丈慈の逞しい腕を私も抱きしめた。

「幸せになろうな」

「うん」

丈慈を見上げるとまた優しいキスが降ってきた。

その瞳はとても優しくて、慈愛に満ちたそんな瞳だった。
でもどこか妖艶にも見える。

「私を捕まえてくれてありがとう」

「ああ。俺こそありがとう」

そしてそのまま幸せに包まれてまどろむ中、私はいつの間にかまた眠ってしまいそうになる。

「おやすみ。愛してる」

意識を手放す直前、私を撫でながら丈慈の低く優しい声が聞こえた気がした。

私も愛してるよ、丈慈。
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