再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「丈慈、普段はあまりうちら以外には笑わないから」

やっぱりそうなんだ。

「会社でなんて女に絶対笑わないよ?」

「そうなの?」

「そ。みんな、なんなら怖がってるかもね」

丈慈が怖い?

「うちらには普通だけど、他人には厳しいよ丈慈は。仕事ならなおさら」

確かにあの女の人が来た時も、別人みたいに冷たかった。
あれは仕事ではなかったけど、普段からやっぱりあんな感じなんだ。
道具とか言っちゃってたくらいだもんね。

「丈慈、パリで初めて会った時、仕事中だったけど怖くなかったよ」

むしろ丁寧で柔らかい印象だった。

「そこなのよ。天音には最初から何か感じてたんだと思うよ。天音が立ち去った後、物凄い勢いで探しに行ってたもんねアレ」

アレって。
翠ちゃんはなかなか兄貴に強い。

「天音、私ともすれ違ってたんだよ? 天音電話してて気づいてなかったけど。ブルーのドレス着た美人いたー! って丈慈に言ったらさ、どこに! つって、凄い形相で問い詰められたからね。思い出すだけで笑っちゃう」
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