再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
ドサッと奥行きのあるベージュのカウチソファに腰を下ろした。
クッションを抱き抱えフゥーとひとつため息をつく。

チラッと窓の外に目をやる。

パパとママは今頃あの星のどこがで私をみているのだろうか。

私の両親はとても優しくて大好きだった。

高校一年生の冬。

あの日、地方で華道のイベントがあってそこに夫婦で参加した両親は、帰りの高速道路で凍結により大型トラックがスリップして、そこにちょうど居合わせた両親の車は見事に玉突きのど真ん中に。
即死だったそうだ。

お婆様に二十五歳に結婚という話をされたのもその頃だった。

このマンションもその頃から一人で住んでいる。
今はいないけど専属のお手伝いさんまでいて、お婆様はそうまでしても私の顔を見たくなかったらしい。

まぁ、おかげで華道をしている時以外は自由だ。
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