再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「い、いやーーー!」

私はクルッと向きを変えてまた階段を登って部屋に走った。
お尻丸出しなのも忘れて。

「ちょいちょいちょいちょい!」

すると丈慈が見た事もない速さで追いかけて来るではないか。

私は慌てて目の前にあった寝室のドアを開けてバタンと扉を閉じて鍵をかけた。

み、見られた。
見られた見られた。
見られてしまったー!

どうしよどうしよ。

しかも慌てて入ったものの、ここの部屋に着替えはない。

ガウンも今は洗濯してしまっている。

絶対ドン引きされた。
恥ずかしすぎる。

「天音。開けて」

すると扉の向こうで丈慈が声をかけてきた。

「天音」

無理だよ!

「い、いやだ…」

蚊が鳴くほどの小さな声しか出なかった。

「天音。大丈夫だから。ほら、開けてくれ」

丈慈は変わらず扉の向こうで優しく声をかけてくる。
< 153 / 286 >

この作品をシェア

pagetop