再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「それ。俺のためじゃないの?」

そ、そうだけども。
そうだけども、ついさっきそれは却下したところだ。

まさか丈慈がこんなに早く帰ってくるなんて。

「俺、天音に会いたくて仕事頑張って早く終わらせて帰ってきたんだけどな」

なんて悪魔の囁きをする丈慈。

「今日、バレンタインだなーってワクワクして急いで帰ってきたんだけどな」

う、うぐっ。

"天音に会いたかった。とても"

そして極め付けにスペイン語で急に言われる。

ず、ずるい…

「天音。開けて」

丈慈が低く優しい声でまた声をかける。

ここまで言われてしまっては…
私は顔を見せるだけならと思い仕方なく鍵をカチっと開けた。
すると、静かにドアが開く。

「天音。ただいま」

そう言ってバーンとドアを開けて入ってきてギューっと抱きしめられた。
あ、これなら見られないじゃん。
セーフだ。

「お、おかえり」

丈慈に私もしがみついて、顔だけあげる。
そんな私をみてクスっと微笑むとオデコにキスが落とされた。

「見せてよ」

げ!
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