再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
旅行
〜丈慈side〜

仕事が終わって帰る支度をしている時、執務室に翠が入ってきた。

スケジュールの変更でもあんのか?

翠を見れば何やらニタニタと変な顔をしている。

「なんだよ」

「どうだった?」

「何が。主語を言え。用がないなら帰るぞ」

「バレンタインよ」

コイツ…
あのネグリジェの事言ってんだな。

「別に」

何が嬉しくて妹相手に話さなきゃなんねぇんだよ。

「可愛かった?」

「しつこい」

「ふふふふっ! 大正解だったでしょ? 感謝してよね」

「何をだよ」

「見たでしょ?」

「…見た」

最高だった。

「何を?」

これまで隣で黙って帰る支度をしていた大河まで話に入ってきた。

「いいから」

いちいち言うなよ。

「天音にね、可愛いネグリジェあげたの。バレンタインに着なさいって」

はぁ。すーぐ言う。

「ははぁーん。んで、丈慈はまんまと翠にしてやられたわけね?」

すーぐバレる。何とでも言え。
危うく本能のまま天音を抱き潰しそうだった。
さすがに危なかった。
そのくらい最高だった。

「うっせ。帰んぞ」

そう言ってニヤニヤ笑う二人とエレベーターに乗り込む。
< 161 / 286 >

この作品をシェア

pagetop