再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「お疲れ様でした。お先に」

一階について先におりる。

"笑ってたね"
"婚約者の前では笑うのかな?"

聞こえてんぞー。

「ふふふ」

「めっちゃ笑うよな」

なんて二人がヒソっと言う。

「うるせ」

駐車場に向かう途中、大河が翠に聞く。

「翠お前乗ってくか?」

翠は車を持ってないし、家も徒歩圏内だ。

「んじゃお願いするー」

「おう。んじゃな」

大河が片手をあげて翠を連れて行く。

「ああ。頼むな。おつかれ」

俺も片手をあげて車に乗り込んだ。

どれ、帰りますか。

すると電話が鳴る。

"社長"

親父?

「はい」

『お前、もう帰りか?』

「ああ。今まだ駐車場。どうかした?」

『ちょっとだけ戻って来れないか?』

珍しい。

「今戻る」

『悪いな』

今さっき通ったエントランスをくぐり、社長室まで向かう。
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