再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
コンコンとノックをすればすぐに返事が帰ってきた。
ドアを開ければ、ニヤニヤする親父と秘書の涼太くん。
なんだ?
仕事じゃない?
「お疲れ丈慈。いいとこ見つかったぞ」
涼太くんが興奮気味で話しだす。
「いいとこ?」
「新居だよ!」
「え?」
「レジデンス。塁んとこで建てるから、うちも参入する事にした。絃からもすぐ連絡くるはずだ」
ニヤっと親父が笑う。
この人達は本当に…
絃んちは、藤崎建設という建設会社を営んでいる。
うちの実家のレジデンスも絃の親父の塁くんが建てた。
そこに親父も参入し工期も大幅に短縮させたらしい。
「まじで? 俺そこ住んじゃっていい感じ?」
「ああ。天音には内緒でやれよ」
楽しんでんなコレ。
「絃に俺からも連絡してみるわ」
「ああ。あとはお前たちに任せる。久しぶりに設計もやれ」
「わかった。ありがとう」
そして車に戻ってエンジンをかけた。
さてと。
あとは天音の好きなテイストで設計だな。
絃も俺も設計は実は得意中の得意だ。
管理職になって滅多に自ら設計する事が減ったため久しぶりの作業に胸が弾む。