再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
〜丈慈side〜

結局あの後、会場で彼女を見ることはなかった。

俺は夢でも見ていたのだろうか。

そのくらい一瞬の出来事だった。


帰国すると同時に携帯が鳴る。
メールの通知だ。


"今夜、会える?"

奈緒か。
奈緒はたまに会って夜を共にする中の一人だ。

なにすっかな。
微妙にダルい。
気が乗らない。
まぁ、いつもの事だけど。

とりあえず会うだけ会うか。

"二十二時にいつものホテルで"

"そろそろ部屋に入れてくれないの?"

出たよ。

一気にサーっと気が滅入る。

"無理だな。最初に言っただろ。終わりだ"

とことん俺はこういう時冷たい人間だと思う。
だが、無理なものは無理だ。





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