再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
パリ
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〜約一年前〜

ここは、フランスパリ。

日本の伝統文化を披露して交流を深める為のイベントが開催される為、私は華道の代表としてやってきた。

パリは学生の頃にも留学していたため、言語にも困ることはない。

今日は山吹色の淡い着物。
それに合わせて腰まである黒の髪は、普段は眉毛の上で切り揃えた前髪ごと全てひとまとめにして顔を出している。

観客が見守る中、何種類かテイストの違う生花を仕上げていく。

"静と動"

そんな感じで。

生け終わりゆっくりとお辞儀をすれば、周りからは大きな拍手があがった。

そして無事に自分の出番も終わって控室に入る。

着物を丁寧に脱いで鏡の前に座るとすぐに髪をほどいた。

会場ではまだイベントが続いている。
様々なブースが設けられ、私がいた会場では焼き物などの工芸品や茶道や書道などもあって、隣の会場では日本の自動車や建築などの様々な技術を披露する場となっていた。

着替えたら、あとは一般客としてちょっとだけ隣りの会場もせっかくだから覗いてみようかな。
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