再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
つい名刺を受け取ってしまう。
歳は丈慈と同じくらいかもう少し上に見えた。

"和泉流 家元 和泉 柊源(いずみしゅうげん)"

和泉流って…
え? 華道の…
なんで私に…?

「辻本天音さんですね?」

彼はそう言って柔らかく微笑み私を見下ろしている。

「ひ、人違いかと。用がありますので失礼いたします」

私はその場から逃げるように立ち去ろうと歩き出した。

「また近々お会いしましょうね」

後ろから落ち着いた声でそんな事を言われたが、私は聞かなかった事にして足早にその場を後にした。

鼓動が早まっている。

なんで…
なんで今更。

和泉流が何のようなの?

モヤモヤとした気分のままエステサロンについて施術を受けた。

終わった後も思い出してしまってまた鼓動が早くなるのを感じた。


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