再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
和泉流って…。

和泉流はもともとうちの辻本流に属していて、確か先代から独立し新しく流派を唱え活動していたはず。

そんな和泉流の家元が何で私に?
家元って確か…

丈慈の家に帰るとちょうど携帯が鳴った。

"翔太郎"

「もしもし」

『天音。悪い、辻本が危機だ』

「え? どういう事?」

『裏で何か起きてる。たぶん、和泉の仕業だ』

和泉って…

「翔太郎。お婆様は?」

お婆様が黙っているわけがない。

『それが…』

翔太郎が言い淀んでいる。

「何? 何かあったの?」

『……天音には心配かけたくないと言って口止めされてたんだ。実は、少し前に倒れて今入院してる』

嘘…でしょ…
お婆様が?
あの?
あのお婆様が倒れ…た?

「そんな…」

心配かけたくないって…

『命に別状はない。もうすぐお前の式もあるし、何としてもそれまで退院するって…。だから言うなって』

お婆様…
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