再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
『和泉もそのタイミングで動き出したんだ。仕事を片っ端から乗っ取り始めた。ちくしょう。恩を仇で返しやがって!』

あの温厚な翔太郎が珍しく声を荒げて怒りを露わにしている。

「実は私も…。今日、和泉柊源って人が私に接触してきた。それってやっぱり偶然じゃないって事よね?」

『なんだと? くそっ! 何か言われたか⁈』

「いや、何も。私も人違いだと言って直ぐに立ち去ったから。でも、去り際にまた会おうみたいな感じの事は言われた」

『あの野郎…』

「お婆様はこの事…」

『言えるわけないだろ。入院中だぞ。こんな事言ったら病院から意地でも飛び出てきちまう』

だよね。
私もそうだと思う。

「和泉は何が目的で? これまでだって、お互い上手くやってたわよね?」

『ああ。先代は元々うちの流派にいたし、そのよしみで辻本から仕事をやったりもしていた』




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