再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
電話を切った後、改めて名刺を見る。

和泉 柊源…
許せない。
後妻も。
いつの間にか再婚していたんだ…

あれだけ嫌いだった辻本の華道だが、華道をしている間は少なからず大事にしていた。

でもそもそも何で柊源は私に会いにきたりしたのだろう…

私はもう華道を引退した身。
私に接触する意味がわからない。

と…とりあえず、そろそろ丈慈も帰ってくるし夜ご飯の準備をしよう。

そして丈慈が帰ってきてからもモヤモヤは晴れないままなかなか寝付く事が出来なかった。

丈慈の体温を背中で感じながらどうしようかと頭はフル回転だ。

辻本の危機をなんとかしたい。
華道は今でも嫌いだ。
辞めた今、全く花を生けたいとも思わないがやっぱり放ってなんておけない。

お婆様や翔太郎、先代もそのまた先代も代々受け継いできた伝統ある辻本の華道を傷つけるなんて許せない。

そして和泉だって先代は立派な人間だ。
だから独立も快く承諾したと聞いている。

後妻も息子の柊源もそんな勝手に代替わりなんてして決して許される事じゃない。
< 206 / 286 >

この作品をシェア

pagetop