再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「思ったよりも遅かったですね。天音さん」

ニヤっと笑うその顔に平手打ちでもしたくなる気持ちをなんとか抑える。

私は今和泉の家に来ている。
着物を着て。

「やっぱり、こちらの天音さんが素敵だ」

何も言わない私に舐め回すような視線を向ける柊源に虫唾が走る。

「それで? 何か私に言いたい事でもあるんじゃありませんか?」

わかってるくせに。
テーブルの下でグッと拳を握った。

「ええ。辻本への妨害を止めて頂きたいのですが」

「ははは。おやおや。何か証拠でも?」

証拠って…
うちの仕事を辻本が引き受けてるだけで十分な証拠じゃないの。
コイツ…
目当ては私じゃないの?

「あら。こちらの勘違いでしたか。それでは結構です。失礼致します」

私は微笑み立ち上がる。

「ははは。さすがは辻本の逸材、一筋縄では行きませんね」

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