再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「はい?」

何を言っているのこの人は。

「ええ。天音さんの仰る通りです。条件があります」

認めたわね。

「条件と言いますと?」

これはまぁ想定内だ。
私はまた座り直した。
ここまでしておいて無条件で妨害を止めてくれる訳がない。

「天音さんが私の妻になり、華道界へ戻る事。簡単でしょう?」

ギラっと柊源の目が光る。
やっぱり私が目的で…
わざわざこんな事までして。

「生憎、私婚約者がおりますので」

「ええ。存じておりますよ。神楽丈慈さんと言いましたか。どこぞのあんな若造に天音さんは勿体無い。天音さんから華道を取り上げるなんて信じられませんね」

は?

「本来の天音さんは淑やかな女性だ。私の妻になれば好き放題また華道ができますよ。和泉の人間として。私はあなたの腕を買っているのですよ。その美貌も」

そう言ってニヤっと笑った。
ゾクっと鳥肌が立った。
この人は何もわかっていない。
まさか自分が救世主にでもなった気でいるのか?
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