再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「そんな…天音! あいつは金で何とかする気だぞ!」

え…
そうなの…?
実力は関係ないって事?

「そんな…。で、でも、それしかないじゃない! 私は正当な評価を受けれると信じてやるわ!」

「天音…」

翔太郎はガクッと肩を落とした。

「丈慈くんはこの事知ってるのか?」

私は首を横に振る。

「言わないで」

ギッと翔太郎を睨む。

「天音…。まずわかった。時間もない。お前はしばらく華道から離れていたし練習が必要だ」

「わかってる。籠るから邪魔しないで」

「ああ」

今回のコンクールは、お題が当日その場で課される。
何がくるかはその時までわからない。
そしてライバルはもちろん和泉だけではない。
本気でやらないと。

丈慈…
きっと戻るから。

早く会いたい…

そして無我夢中で花と向き合う日々が続いた。

丈慈…
大丈夫よね?
信じて待っててくれてるよね…

何度も心が折れそうになりながらもひたすら生けた。
< 216 / 286 >

この作品をシェア

pagetop