再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する

そして結婚式の2週間前となった今日、いよいよコンクールが開催される。

会場にはおびただしい人が集まって来ていた。

翔太郎の話によると、引退したはずの私がまたコンクールに出場するという事で業界中から一目見ようと集まってきたのだろうと。

エントリーした時点で名前が公表されるからそれで広まったらしい。

「これはこれは天音さん。今日はよろしくお願いしますね」

柊源は変わらず余裕な笑みを見せてきた。

「どうも。聞きつけたマスコミがライブ中継するそうですよ。楽しみですね」

翔太郎が急に現れ柊源に言い放った。
柊源は一瞬眉をピクっと動かした。

「左様で。ははは。それは楽しみだ。では」

そう言って足早に立ち去って行った。

「あいつ、マスコミが来ると思ってなかったようだな」

「まさか…翔太郎が呼んだの？」

「ああ。あいつの醜態を世間に知らしめてやる。天音は何も気にする事なく自分の花と向き合うんだ」