再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「全て聞かせてもらった。何かあるとは思っていたがまさかな」

先代が口を開く。

「お前とは離婚だ。見舞いに来るどころか、そもそもお前たちの仕業だったとはな。俺も騙されたものだ。柊源は華道界から追放する。今後一切和泉を名乗るな。勝手に家元に襲名し、親である辻本に恩を仇で返すような真似しやがって。二人とも二度と顔を見せるんじゃない」

そう言い放った。
すると後妻が口を開く。

「あら、証拠でもあるのかしら?」

この期に及んで後妻はまだそんな事を言っている。

「ご自分でベラベラと話していたじゃありませんか」

翔太郎がそう言ってボイスレコーダーを再生する。

「んなっ⁈」

さすがに動揺しているようだ。
そしてこれまで一切声を発しなかった丈慈が声を出した。

「私からもよろしいでしょうか?」

低く冷たい声。
あまりの迫力にここにいる全員が息を飲んだのがわかった。
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