再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「和泉さん。少し前にマンションの建設の話をされましたね?」
「な、なんでそれを⁈」
マンション?
建設?
どういうこと?
「不動産でも始めるおつもりですか? 私の所の下請け会社から話が上がってきましてね。建設するとなるとそれなりに多額の金が動きますが、それはどなたのお金なんでしょうね?」
ギクっと肩をすぼめる二人はみるみる顔色が悪くなる。
「お前たちまさか…横領を?」
先代もそれは知らなかったのか驚愕の表情を見せる。
「困りましたね。それから…
天音は私の婚約者だ。手を出すんじゃねぇ」
一気に柊源との距離を詰めたかと思えば胸ぐらを掴みそう言い放った。
さすがの柊源も丈慈の放つオーラに圧倒され何も言葉が出ないようだ。
まるで怯えた小動物のように。
「ただで済むと思うなよ? 許さねぇぞ。徹底的に叩き潰してやる」
それは地を這うようなそんな声で、あまりの威圧感に皆んなが固唾を飲む。
「という事で、私はここで失礼します」
そう言ってパッと手を離すと何事もなかったかのようにすっと表情を戻して私に声をかけてきた。