再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
何となく状況がわかってきた気がする。

天音は妨害を止めさせるために、自らコンクールに出て直接対決をする事にしたんだな?

何か他に条件でも出された…
例えば天音自身とか。

あり得る。

もしかすると俺との連絡も、何らかの理由で圧力をかけられたか?

その前に菊枝さんはどうしたんだ?
そもそも婆さんがいてこんな事が起こるか?

『も、もしもし』

「翔太郎さん、お久しぶりです。天音は元気ですか?」

はやる気持ちを抑え冷静に話す。

『あ…いや…その…はい。元気です。コンクールに出るため籠ってます』

やっぱり。
そんでもって天音に口止めされてたなこれ。

「天音の事はわかってるつもりです。全部話していただけませんか?」

『丈慈くん。すまない、俺が不甲斐ないせいで』

そう言って、菊枝さんの入院の事から、和泉が代替わりして妨害をしてきている事、止める条件に天音を差し出せと言われた事、それに対抗してコンクールに出る事を聞かされる。

やっぱりな。

「わかりました。そんな事だろうとは思いました。実は偶然にもコンクールのゲスト審査員として出席する事になりまして」


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