再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
『それは! 本当ですか⁈ 和泉柊源は確実に金で審査員を買うつもりです』

なるほどな。

「翔太郎さん。和泉の先代の容態はまだ未だに意識不明なのですか?」

先代さえいれば、いくら柊源でも手出しは出来ないはず。

『それが、わからないんです。ちょっと私の方でも当たってみます』

「そうして下さい。もしコンクールまでに意識が戻れば状況は一変するはずです」

『はい。丈慈くん、ありがとう』

「天音をよろしくお願いします」

『ええ。何もなければ天音が優勝します』

翔太郎さんは言い切った。
天音の実力はきっと相当のものなのだろう。

天音…

なぜ一人で頑張ろうとする?
なぜ俺に頼らない。

悔しい気持ちが先行する。

ダメだ。
天音のせいじゃない。
苦しいのは天音だ。

せっかく抜け出した華道の世界へまた自分から突っ込んで行ったんだから。

俺は信じて待つしかないのか?

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