再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
そして迎えた当日。

俺と和泉の先代は軽く挨拶を交わし、ギリギリになって会場入りした。

先代が審査員たちを見れば皆が意志の強い目で頷いて見せた。

話を聞けば、そもそも金の話を後妻から皆それぞれにされたらしいが誰一人として揺さぶられる人はいなかったそうだ。

正当な評価をすると。
華道にいかさまは通用しないらしい。

知らないのは柊源と後妻のみ。

どうなるか見ものだな。

いよいよ最終組の天音と柊源の出番がやってくる。
俺は素人で華道はわからないが、これまでの出場者の中で心揺さぶられる作品はなかった。

そしてパリでの天音の作品を思い出す。
あの時俺は知らずに足が止まった。

きっとそういう事なんだろう。

わからずとも見入ってしまうような、そんな作品を天音は創ることのできる才の持ち主なんだろう。
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