再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「あったり前じゃないの! 丈慈、みんなの前で襲ってくるかもよ?」

なんてママがとんでもない事を言って翠ちゃんと笑っている。

「天音」

その時カチャっと扉が開いて名前を呼ばれ振り向く。

「お婆様…。翔太郎も」

久しぶりに見たお婆様は入院していた事なんて微塵も感じさせないような佇まいでその逞しい姿に思わずグッと目頭が熱くなる。

「大変だったわね。私が入院なんてしたばかりに…。余計な心配をかけてしまったわ」

そんな…

私は首を横に振った。

「天音。よく辻本を守ってくれたわ。もう心配いらないから。あなたは気にせず丈慈さんと幸せになるのよ」

「お婆様…ありがとう」

「あなたの作品、素晴らしかった。全くうちの流派からは逸れていたけどね」

そう言って笑った。
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