再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「天音。綺麗だ」
耳元でそれはそれは艶めかしい声色で囁かれる。
一瞬でキュンっと心臓が高鳴る。
「じょ、丈慈も。カッコよすぎだよ」
私は丈慈のジャケットの裾をクイっと引っ張って周りに聞かれないように耳元で伝えた。
丈慈は驚いた顔をしたのも一瞬で、すぐにニヤっと口元だけ笑みを浮かべ私を見下ろす。
その瞳には情欲の炎が見えた。
もう! やめてよこんな時にそんな顔。
思わず顔が赤くなってしまった。
私達のアイコンタクトを他所にまだキャーキャー言ってるギャラリー。
さすがだ。
そしてやっと神父さんが話し始めるとシーンと静粛に包まれる会場。
まるで私たちと神父さんしかいないみたいに静かだ。
いよいよ誓いのキスだ。
人前でなんて、は、恥ずかしい…