再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する

ずぶ濡れになりながらも誰一人雨宿りなんてする人もいなくて、雨とフラワーシャワーを盛大に浴びて、声を出して笑いながら腕を組んで皆んなの間を通った。

そして最後に振り返りみんなに二人でお辞儀をする。

雨の中あちこちからこれでもかと祝福の言葉が飛んでくる。

丈慈を見上げる。
ここが皆んなの前だというのにすっかりテンションの上がった私たちは、どちらからともなくキスを披露してしまった。

腰を掴まれ、もう片方の手は私の頬を包み込んで私はのけぞるような体勢になりながら、私も丈慈の両頬を包み熱いキスを一身に受け止める。
まるで社交ダンスのラストを飾るポーズみたいに。

キスをした後も、二人おでこをくっつけて抱き合い目と目を合わせて微笑みあった。

「キャー! 映画みたぁーい!」

「丈ー慈ー! 夜まで我慢だぞー」

もうギャラリーは大騒ぎだ。
土砂降りの雨が降って、ただでさえ騒がしいのに。

「ははは! 何とでも言え」

終始ご機嫌な丈慈を見て私もすっかりご機嫌になってしまった。
雨もしたたるいい男とは丈慈のためにある言葉なのではないかと思ったくらいだ。

ここにいる全員が笑顔で祝福してくれて、幸せに包まれた。

丈慈と出会って、人を愛する喜びを知った。
愛される幸せを知った。

想い想われ共に歩んでいきたい。
どんな事があっても私はそうありたい。

丈慈に笑っててほしい。

そう心から思った。



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