再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「どうも。生憎連れが来ますので」

なんて根も歯もない事をサラッと言う春香。

連れなんていないじゃんと内心笑いそうになる。

「向こう行こう」

私も加勢する。

「えー? 行っちゃうのー? 連れなんていないだろ? ずっと二人じゃん」

ほら見ろー!
バレとるぞ春香ー!

トコトコその場を離れようと歩く私達の後ろから、その二人組はしつこくついてくる。

嫌がってんのわかんないわけ?
でもこんな所で好き放題怒鳴り散らすわけにはいかない。
いくらプライベートとはいえ。

「ふふふ。他当たってくださる?」

ヒールで足を踏んづけてやろうか?
無理やり笑顔を作り二人組に言い放つ。
お淑やかにお淑やかにと自分に言い聞かせながら。

「俺たち、運命的な出会い感じるんだよね!」

ダメだこりゃ。
知能が低すぎる。
全くもってこちらは共感できない。

春香と目を合わせ、二人で白目を向きそうになる。
春香も私と同じだったようだ。



「待たせて悪かったな。俺たちの連れが何かしたか?」


え?

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