再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
〜丈慈side〜

「丈慈。今日だからな」

大河が俺の隣のデスクから話しかけてくる。

「ワインか?」

「ああ」


俺と大河は同室で机を並べて座っている。

ちなみに翠も同室にするかと言ったら息が詰まると言われて、アイツはすぐそばの秘書課にいる。

どうせ俺たちの秘書なんだからいいだろとは思うが、翠は嫌だそうだ。


「スーツ用意してねぇわ」

「ほれみろ。だから言ったろ!」

大河はそう言って、叔母でYUI FUJISAKIのデザイナーの結ちゃんに電話をかけた。
結ちゃんは、俺のお袋の姉貴だ。

俺たちは、この歳になっても叔母をちゃん呼びさせられている。
というか、親戚の女性陣は皆んなだ。
ちなみに男性陣はくん呼び。

「あ、俺俺! 大河! 
結ちゃん、悪いんだけど丈慈にもスーツ用意できたりするか?
ああ。おお! さすが!
いつも助かるよ。
うん。それじゃまた」

大河は俺を見る。

「お前の分ももう用意してあるってよ」
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