再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
それもその時だけで、会場に入った途端案の定騒がれる。

「うるせぇ」

大河がボソッと呟く。

「まったくだ」

俺もそれには同意見だ。
ここに俺達と同い年の親戚の、奏翔(かなと)と絃(いと)もいたらもっと大変な事になってただろうな。

「あいつら誘わなくて正解だったわ」

大河も同じ事を思ったらしい。

「まったくだ」

気を取り直し会場の奥へ足を進めた時、こんなに人がごった返しているのに俺は一瞬で一点に目を奪われた。

彼女だ。
パリで会った彼女がいた。
今度こそ間違いない。

「大河。あれ。あの黒のジャケット着たモデルみたいな二人組の女見えるか?」

大河も俺と同じタイミングで視線が止まっていた。

「ああ。あれだろ? なんか絡まれてないか?」

「だよな。あれ、ロングヘアの方。パリの時の彼女だ」
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