再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する


お節介な私はついつい声をかけてしまった。

「何かお困りですか?」

すると日本人男性は私を見るなり目を大きくしたあと、ハッとしたように話し出した。

「すみません。フランス語がわかる者が席を外してしまって。お恥ずかしながら、私フランス語が話せなくて」

そう言って申し訳なさそうに眉を下げた。

「私でよければ通訳しますよ」

そしてフランス人男性にも挨拶をした。
どうやら話を聞けば建築物について質問したかったようだ。

その事を日本人男性に伝える。

「通訳お願いしても宜しいでしょうか?」

私は頷く。

すると日本人男性は相当頭がきれるのか、質問について専門用語を交えながらハキハキと話し出した。

綺麗な日本語を使う人だな。

フランス人男性もまたそれについて頷きながら話を熱心になって聞いている。

私には全く理解できる内容ではなかったけれど、この日本人男性が仕事ができる人なのだという事だけはわかった。
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