再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
私は彼のわからないフランス語で話す。

"あなたと会ってから心臓がずっと速いの。思い出した時も。どうしてかわかる?"

彼は案の定わかっていない。

ははは。
わかったところで、こんな事聞かれても困るだろうに。
私は何を言っているんだか。

すると彼は私を真っ直ぐに見下ろし、それはそれは見事に流暢なスペイン語を話した。

"君に会いたかった。ずっと"

ドクンと更に大きく鼓動がなった。

その真剣な瞳に射抜かれたかのように。
勘違いしそうだ。

この人は私がスペイン語がわからないと思って言ったんだよね?
実はスペイン語は私もわかる。

だとしたら本心なの?
少なからず彼は私をそういう対象として見てる?

"それ、口説いてる?"

彼はまさか私がスペイン語も話せると思ってなかったため、驚いた顔をしたあと少し照れたように誤魔化した。

照れてる…
こんな人でも照れたりするんだ。






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