再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
そして、フランス人男性は最後に日本人男性と握手を交わしてその場を離れた。
何か契約する事になったようだ。

「すみません。大変助かりました」

彼が私を見下ろしお礼を言う。
身長高いな。

「いえ。お役に立ててなによりです」

「何かお礼をさせ…

話している途中で彼の携帯が鳴った。

「すみません、ちょっとだけ…。少しだけお待ちいただけますか?」

彼はそう言うと電話を取り片耳に当てて少し話し始めると「ごめん」というジェスチャーを私にして、タブレットを操作するためか奥の方に行ってしまった。

ははは。
忙しいんだね。

少し待っていれば、今度は私の携帯が鳴る。

げ。
お婆様だ。

たぶん今日の評価だな。

特にお礼を改めてしてもらうほどでもないので、彼の方を見て軽く会釈をすると私は電話を耳に当ててそのまま会場を後にした。

私が会釈した時彼は「待って」と口パクで言っていた気がしたが、お婆様の電話を無視するわけにはいかない私はそのままニコっと微笑んでさようならをした。
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