再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「来い」

彼は一言そう言って私の手を取り歩き出した。
もう引き返せない。
引き返すつもりもない。

私の手を掴んだその手は大きくて綺麗な顔からは想像していなかった力強さを感じた。
ゴツゴツした大きな手。
どんな事からも護ってくれそうなそんな手だ。

彼はそのままここのホテルの部屋をとり、キーを預かるとエレベーターに乗った。

どんどん上昇するエレベーターの中には、私達の他にも乗っていたのに彼は手を繋いだまま離さない。

まるで逃がさないと言っているかのように。

そしてついに誰もいなくなったと思えば、チュっとひとつキスが降ってきた。

初めてのキスはくすぐったい感じがした。

「ふふふ」

キスってこんな感じなんだ。
思ったより柔らかい。

「何だよ」

彼は少しだけムッとした表情を見せる。

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