再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
俺を見ているようで見ていない?

俺を見ろ。

そう思ってベッドへ天音を縫い付ける。
天音がようやく俺を見た気がした。

見下ろした天音があまりに美しくて口にする。

「天音。綺麗だ」

すると天音は俺を見上げ微笑む。
こんな、きっと数々の男に言われてきたろうに。
なんでそんなに嬉しそうに微笑むんだよ。

「丈慈も。綺麗」

そう言って俺の顔を優しく撫でてきた。
ゆっくりと一つ一つ確認するように。

天音が俺を見ている。
俺に興味を示し触れている。

それだけで暴れそうなくらい気持ちが高揚してくる。
こんな…
こんな感じなのか。

余計に他の事なんて考える隙も与えたくなくなり、噛み付くようにキスをした。

そして気づく。

だてに女を相手していない。

コイツまさか…

唇を離せば息をあげて頬を紅潮させ涙目で俺を見上げる天音。
ゆらゆらとその瞳は揺れている。

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