再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
前に冊子で見た記事だ。

着物を着た男女の写真。
愛人…

これが昨日の彼女?

他の記事にも目を通す。
華道の腕前はそれは高く評価してあった。

心無い書込みも。

携帯を持つ手が震える。

彼女は、そんな女じゃない。
尻軽だの気取ってるだの。

俺が昨日抱くまで経験もしてないような女だぞ。

花を生けてる写真を見れば、何だか自分を押し殺しているようにも見えた。
昨日の表情豊かな彼女の面影は微塵も感じられない。

彼女は一体、何を抱えてる?

俺に実は何か助けを求めていたのか?

そういえば仕事の話をした時、話したくなさそうだった。

いやいや華道をしている?

もしかしてパリで見たあの花も天音の作品だったのか?

辻本流。

家元は…兄貴?
やっぱりあの写真、兄貴じゃねぇかよ。
記事なんて嘘ばっかだな本当に。


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