再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
そしていよいよ顔合わせの日がやってきた。

こんなに気が重くなるなんて。

でも嫁に行けば辻本としての華道から解放される。

「天音」

翔太郎が心配そうに私を見る。

「なによ」

「相手…聞いてないんだって?」

「そうよ。誰だって変わらないもの」

「天音…」

翔太郎は優しいから。

「大丈夫よ翔太郎」

「天音。お前も。大丈夫だ。幸せになれるよ」

ほら、そんな事言って励ましてくれる。

「ありがとう。行ってくるね」

「天音。大丈夫だから」

「あはは! わかったって」

心配症だな本当に。
覚悟は決めた。

あとはお婆様が決めた相手を信じるしかない。
オヤジじゃなければなんとかなるはずだ。
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