再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「困ったな。顔だけでも見せてくれないか?楽しみにしてたんだ」

ダンディな声で話しかけられる。
楽しみって…
申し訳ないが、おじさんを楽しませる気はない。

あんなに覚悟したはずなのに…

「む…む

無理です。
と言おうとした時。

「天音」

え?

幻聴?

聞こえるはずのない声が目の前から聞こえてきて思わず顔を上げた。

そこには、あれだけ会いたかった丈慈が立派なスーツを身に纏い微笑んで私を見ていた。

その隣には、さっきのダンディな声の主だろう丈慈にそっくりな男性の姿。

「んなっ! なんでっ⁉︎」

思わず大声をあげてしまう。

「天音!」

すかさずお婆様の喝が入った。

ど、どういう事⁈
なんでここに丈慈⁈

何度も瞬きを繰り返す。

「始めまして。天音さん。丈慈の父の純平です」

ダンディな丈慈そっくりなイケメンは父親だった。

「天音。こちら神楽コーポレーションの社長様よ。そして、あなたのお相手は息子さんの丈慈さん。専務をなさってるそうよ」
< 72 / 286 >

この作品をシェア

pagetop