再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
部屋で二人見つめ合う。

「驚いた顔してる」

丈慈が落ち着いたトーンで話し出す。

「当たり前でしょ!」


"会いたかった。ずっと"



丈慈はあの時みたいにスペイン語で話した。
低く、甘い声で。
貫くような真剣な眼差しで。




"君を幸せにすると誓う。
俺と結婚してくれ。愛してるんだ"



本当に…⁈

これ荒手のドッキリか?

キョロキョロと部屋にカメラがないか見回す。


「おい。何してんだ」


「ドッキリ…


「じゃない」


目をこする。
この際メイクなんてどうでもいい。

「夢…


「じゃない」


ドッキリでもなくて夢でもない…


「ええーーー⁈」


やっとこの状況に追いついた私はまたもや大声をあげる。


「天音。ボリューム」

丈慈は優しく促す。

「天音。返事は聞かせてくれないのか?」



< 74 / 286 >

この作品をシェア

pagetop