再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する
「いや…」

大河からはあれから何も聞いてないしな。

「天音の事なんです!」

「え?」

「お願いします! 話だけでも聞いてもらえませんか?」

天音の事なら俺も聞きたい。
これはチャンスだ。
神様は俺を見捨てなかった。

「ええ。それならもちろん。聞かせてくれないか」

彼女はそう言った俺を見て少しだけ表情を緩めた。

そのまま奏翔の店には行かずに近くのカフェに入った。

「あの、改めまして。篠宮春香(しのみやはるか)です。天音とは中学の同級生で親友してます」

「俺は神楽丈慈。天音の話って?」

さっそく本題に入る。

「神楽さん。天音の事、どう思ってますか?」

急に聞かれる。

「俺は…、俺は天音と一緒になりたいと思ってる。実は一年前にパリで彼女に助けてもらった事があったんだ。それからずっと忘れられずにいて、それであの時偶然見つけて駆けつけたんだ。俺は天音が好きだ」
< 78 / 286 >

この作品をシェア

pagetop