再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する

彼女は目を大きく開けた。

「天音を…天音を助けてください！」

そう言って勢いよく頭を下げる彼女。

「助ける？　天音に何かあったのか？　無事なのか？　連絡をくれないのはそういう事なのか？」

俺は監禁でもされているのかと思い詰め寄る。

すると彼女は横に首を振る。

そしてポツポツと天音の話をしだした。

華道が死ぬほど嫌いな事。
お婆様に逆らえない事。
華道を引退する為に知らない人と結婚しようとしている事。

「私あの時言ったんです。知らない人と結婚する前に一度くらいって…」

それで天音は俺を選んだのか？
一夜限りのつもりで。
大事な初めてを。

「神楽さん。確かに天音は、あの日限りと思ってあなたを選んだかもしれない。でも…天音は、天音はあなたの事を今でも思ってる」