再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する

「はじめまして。本日はお時間頂きありがとうございます。私神楽丈慈と申します」

「単刀直入に聞くわね。天音の事を愛してくれてるのかしら？」

まさかの質問だった。
収入や財力などそっちの話から入るかと思っていた。
てっきり愛だの恋だの関係ないのかと。

「はい。もちろんです」

俺は真っ直ぐに見つめ答えた。
だからここまで来たんだ。
連れ去る覚悟をもって。

「そう…」

天音の祖母の菊枝さんはホッとした表情を見せた。

「天音は華道が嫌いなのよ。そして私の事もね」

菊枝さんは眉を下げる。

「馬が合わないのよね」

嘲笑うかのような言い方に一瞬ピキっとこめかみに力が入る。

「お婆様」

隣で兄の翔太郎が一言口を挟んだ。

「ああ。ごめんなさいね。私がじゃなくて天音がよ。天音の両親は天音が高校一年生の時に事故で亡くなってしまってね。それからは私が保護者として預かったんだけど…」