再会した御曹司は純情な彼女を溺愛する


「天音にはこの先、幸せになってほしいのよ。今まで嫌いな華道を我慢して自分を押し殺してでも辻本のために頑張ってくれたんだから」


全部お見通しってわけか…

それから菊枝さんは不器用なんだな。
そして天音も。


「丈慈さん。約束できるかしら? 天音を幸せにするって」


「もちろんです」

俺は強く頷いた。


「天音は今自分の殻に閉じこもっていて、結婚相手の話しすら聞こうとしないんだ。まさか、相手が丈慈さんだとは顔合わせの時まで知らずに行くと思う」

これまで静かに聞いていた天音の兄貴が話し出した。

「わかりました」

「天音をどうか、よろしくお願いします」

「はい。必ず幸せにします」

そう言うと、二人はそれはそれは安心したように顔を見合わせ笑った。
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