ホスト様の隣は私

來斗side

慌てて「美桜ちゃん、またね」って女に言い去っていく仁。

そんな逃げるかのように行かなくてもいいのにな〜。


俺はそんなこと思いながら、女の隣に座りタバコに火をつけた。


女はただ下を向いてるだけ。


こいつには闇があるのは気づいていた。

仁が言う通り、普段の俺ならほっといてただろう。


でもなぜか、こいつはほっとくことができなかった。


「なぁ」

「…………」


無視ですか。


「おい!」

「……………」


は?ホントにこいつ何?

俺のこと無視するか?

せっかく話しかけてやってんのに。


なんて思いながら女を見ると、涙を流してる。

あ、泣いてたから無視したのか。


あ〜めんどくせぇ。

やっぱりほっとくんだった。


「………ごめんなさい」

泣きながらも謝る女。


「別に。泣きたいなら泣けば?」


めんどくせぇって言いたかったのに、気づいたら優しい言葉をかけてる俺がいた。

意味わかんねぇ!


「……………ありがとう」
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