幸薄い少女は、常世の君にこころゆくまで焦がされる
死の淵で君と出逢う
「だ、大丈夫?」
そう言って人間の少女は俺の体を優しく抱きかかえた。このうえない安心感に思わず身を任せる。
現世で行き倒れていた俺を、彼女は身を挺して救ってくれた。
自分とは違う異形の者の身を案じ、あまつさえ涙まで流す少女の姿に俺は強く胸を打たれた。
「──」
俺が小さくつぶやくと、彼女は優しく微笑んでくれる。
奥ゆかしさを感じるその笑顔に、よりいっそう惹かれていった。
甘く穏やかな寝息に、俺は彼女の寝床へといざなわれる。
この少女の特別になりたい。
それがたとえ許されない恋だとしても、いやが上にも彼女のそばにいたいと心が望んでいた。