私の恋がはじまった日

 すらっとして背が高くて、目つきはちょっときつめ。


 あれ?この人どこかで……?


 周りの女子が教卓の前の彼を見ながらひそひそと話してる。


 「めっちゃイケメン!?」「かっこよくない?」「彼女いるかな?」なんて言葉が聞こえた。


藤宮 凌太(ふじみや りょうた)です。よろしく」


 教卓の前であいさつをした藤宮くんは、それだけ言って小さく頭を下げた。


 その態度と声に、また女子が小さくキャーキャー言っている。


 これはなかなかモテそうな男子が転入してきた…!


 私の感想はそんなものだった。


「座席は、佐藤さんの隣に座ってください」


 餅月先生は私の隣の空席を指し示す。


 今日は隣の子はお休みかな?と思っていたら、どうやら転入生の藤宮くんの席だったみたい。


 藤宮くんはこちらにやってきて、私の隣の席にすとんと座った。


「よろしくね」


 私は小さく藤宮くんに声をかける。


 藤宮くんは私を見て、ふっと笑ったような気がした。


「久しぶりだな…」


「え?」


 教卓では餅月先生が、始業式の話やら連絡事項やらを話している。


 私たちは先生に怒られないよう、小声で話した。

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