私の恋がはじまった日

「会っただろ?桜並木で」


「桜並木?……ああ!さっきの!」


 思わず出てしまった大きな驚きの声に、先生が不思議そうに私を見た。


「佐藤さん、どうかしましたか?」


「あ、いえ…!」


 クラス中の注目を浴びてしまって、私の頬が熱くなる。


 恥ずかしいっ…。


 そっか、さっきぶつかっちゃったの、藤宮くんだったんだ。


 私の様子をなんだか楽しそうに見ている藤宮くん。


「お前、相変わらずそそっかしいんだな」


「うう…お恥ずかしい…」


 相変わらず、というのは、さっきぶつかっちゃったときのことを言っているのかな? 


 私が恥ずかしくてうつむいていると、藤宮くんがぼそりとつぶやいた。


「……変わらないな…」


「え?」


 なにか言っていたような気がしたけれど、うまく聞き取れなかった。


 みんなが体育館への移動をはじめてしまったので、私たちの会話はそれまでになってしまったんだ。

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